1996年3月に勃発した台湾海峡危機にUSS
Independence
(CV-62)/CVW-5が出動した際の記念パッチです。この台湾海峡危機は1995年6月7日から12日にかけ李登輝台湾総統(当時)が私人として訪米し、これに中国が反発したことから始まったものでした。中国は李登輝の訪米は台湾独立につながると激怒。これに対し1996年3月の選挙直前に中国人民解放軍は民選的な台湾初の総統選挙に影響を及ぼすべく大規模な軍事演習を実施しました。3月8日には軍事演習でのミサイル試射と称しM9短距離弾道ミサイル3発を発射。1発は演習海域に落下したものの2発のミサイルは台湾本島のそれぞれ北部と南部に落下。そのうち1発は台湾領空を通過したものでした。これにより中台の緊張は一気に高まり、台湾政府とアメリカ政府は中国を強く非難。
時を同じくして、2月9日に横須賀を出港したCV-62は緊迫した台湾東部に到着。中国を必要に刺激しないためか、公式では「たまたま時期が重なった予定通りの通常訓練」と称し、実弾を搭載した艦載機が緊迫した中国軍の軍事演習を監視しました。演習の監視を終了し3月27日にCV-62は横須賀に帰港しますが、4月17日にはクリントン大統領(当時)がCV-62に訪艦しクルーを労いました。緊迫する台湾海峡近辺にて紛争へと発展しかねない状況での、現役最古艦でもあり、また退役を目前にしたCV-62の今回の役割は大きく、クリントン大統領の艦上での演説でもこれらに触れていました。
パッチの上部リボンには、これらの中国の事態を示すようにMARCH
MADNESS
'96(1996年の境界地域での狂気)と書かれ、下のリボンには皮肉(?)でIt's
the only game in
town(それは町で唯一のゲーム)と書かれています。パッチにはダイスも書かれていますが、これはペルシャ湾から派遣命令を命じられ台湾南部に展開したCVN-68に搭載されていたCVW-11を表しています。この航海はVF-21解散によりCVW-5に補充されたVFA-27の初めての航海でもあり、またVA-115による解散前の最後の航海でもありました。このパッチが使えるCV-62/CVW-5に属し、この台湾海峡危機に参加した飛行隊は以下の通り。
CV-62 /
CVW-5
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1996
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VF-154
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F-14A
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VFA-27
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F/A-18C
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VFA-192
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F/A-18C
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VFA-195
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F/A-18C
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VA-115
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A-6E
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VAW-115
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E-2C
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HS-14
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SH-60F/HH-60H
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VAQ-136
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EA-6B
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VS-21
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S-3B
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VQ-5
Det.5
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ES-3A
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VRC-30
Det.5
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C-2A
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